いまこそ真の「同一価値労働同一賃金」の実現を(中村和雄・弁護士 )|オピニオン|非正規労働者の権利実現全国会議

いまこそ真の「同一価値労働同一賃金」の実現を

中村和雄・弁護士 [市民共同法律事務所]
2016.11.28

1 安倍政権の「働き方改革」

今年の5月18日、安倍政権は「ニッポン一億総活躍プラン」を発表した。これから目指す「一億総活躍社会は、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、誰もが活躍できる全員参加型の社会である。」とする。そして、担当大臣を置き、実現本部を設置した。

ニッポン一億総活躍プランでは、「働き方改革」の方向として、1.同一労働同一賃金の実現、2.最低賃金の引き上げ、3.長時間労働の是正、4.高齢者の就労促進が掲げられている。

プランは「女性や若者などの多様で柔軟な働き方を拡げるためには、わが国の労働者の約4割を占める非正規労働者の待遇改善は、待ったなしの重要課題である。」という。待ったなしの重要課題であることはその通りである。歴代の政府がしっかりとして規制をせずに、逆に規制を緩和してきた結果である。速やかな規制が必要である。

そのための有効な方法が「同一(価値)労働同一賃金」の実現であり、最低賃金の引き上げである。安倍政権は、これまでの対応を反省し、同一労働同一賃金の実現や最低賃金の大幅引き上げを実行できるのだろうか。

2 「同一労働同一賃金」の確立を

プランは、「同一労働同一賃金の実現に向けて、わが国の雇用慣行には十分に留意しつつ、躊躇なく法改正の準備を進める。労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の的確な運用を図るため、どのような待遇差が合理的であるかまたは不合理であるかを事例などで示すガイドラインを策定する。・・・非正規という言葉を無くす決意で臨む。」とし、「関連法案を国会に提出する。」としている。

安倍政権が果たして本気で同一労働同一賃金の実現に取り組もうとしているのかははなはだ疑問であるが、「同一労働同一賃金」を政策課題として提起せざるを得なくなったのは、労働現場で非正規が拡大し、正規と非正規との著しい格差をこれ以上放置することがもはやできない状況となっているからである。

3 経団連の抵抗

しかし、経団連をはじめとする経営側の抵抗は激しい。経団連は、7月19日、「同一労働同一賃金の実現に向けて」と題する文書を発表した。そこでは、欧州諸国と日本の制度の違いを強調し、経団連の求める「日本型同一労働同一賃金」は「職務内容や、仕事・役割・貢献度の発揮期待(人材活用の仕方)など、様々な要素を総合的に勘案し、自社にとって同一労働と評価される場合に、同じ賃金を支払うことを基本的考え方とする。

ガイドラインの策定や法制度の見直し、簡易な救済制度の利活用等により、同一企業における正規従業員と非正規従業員の不合理な待遇差を禁止する現行ルールの実効性を高める」としている。現状の正規と非正規の格差を正当化する方向であり、現状追認でしかない。世界標準である「同一労働同一賃金」の制度導入に真っ向から反対しているのである。

4 今こそ、真の「同一価値労働同一賃金」の実現を

まやかしの「同一労働同一賃金」で誤魔化されることがないように、客観的で平等で適正な「同一(価値)労働同一賃金」制度を実現させることができるか否かの正念場である。格差是正と底上げを実現していくために有効は手段である「同一(価値)労働同一賃金」の実現を勝ち取ろう。

安倍政権の働き方改革は、働くものの権利を擁護するためのものではない。デフレ脱却を目指し、日本経済を活性化するための一環として打ち出されているのである。会議のメンバーのほとんどが財界人であり、労働側代表は連合会長ただひとりというのがそのことを物語っている。経団連をはじめとする財界の意向を反映した「働き方改革」の欺瞞性を暴露し、真の労働者のための制度を実現していこう。

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