3/18、新春の連続ZOOM学習会・第5回を開催。金沢大学名誉教授の伍賀一道さんに講演いただきました|非正規労働者の権利実現全国会議

3/18、新春の連続ZOOM学習会・第5回を開催。金沢大学名誉教授の伍賀一道さんに講演いただきました

2021.5.11

非正規労働者の権利実現全国会議

伍賀さんは「労働力調査」などの政府統計資料の結果を丹念に分析され、雇用のあり方の変化、とりわけコロナ禍で雇用がどう変容しているのかを具体的に説明されました。

コロナ禍はアベノミクスの裏面で進行していた貧困問題を顕在化させ、格差構造をより鋭くしている。90年代以降の新自由主義に基づく規制緩和政策によって日本の格差と貧困は拡大したが、コロナ感染症はその格差構造の下部に置かれた人々に深刻な打撃を与えている。産業や職業、雇用形態によって感染症の影響の度合いに大きな差異がある点で、従来の経済不況とは特徴を異にしていることを解説頂きました。

リーマンショック時と異なり、今日のコロナ危機のもとでは完全失業者、完全失業率ともに徐々に増え、8月から10月にかけて、それぞれ200万人、3%を超えたが、リーマンショック期と比べればかなり低い水準にとどまっている。その一方で休業者はかつてないほど増加した。特に、全国一斉に緊急事態宣言が出された4月の休業者は597万人に上った。コロナ禍の初期段階はこの休業者の急増が労働市場の大きな特徴であったとのことです。

コロナ禍での休業者の中には、休業手当の支給なしに休業状態に置かれている人々が少なくない。これは 失業者の新たな形態と考えられる。コロナ禍における非正規雇用の減少はリーマンショック期をはるかに上回る規模である。減少した非正規雇用は、一部は完全失業者となったが、リーマンショック期ほどではない。「労働力調査」によれば、完全失業者のほかに非労働力人口に、さらに正規雇用に転換する者もいたからである。ただし、この変化は男女で異なっている。男性は非正規雇用から完全失業者になる者が多く、正規雇用から完全失業者になるケースも加わって、完全失業者は増加傾向が顕著である。これに対し女性は完全失業者だけ でなく、非労働力人口および正規雇用の増加が目立っているやむなく非労働力人口になった人たちに貧困が集中している可能性がある。伍賀さんの分析によってコロナ禍の雇用に与えている深刻な状況が明確になりました。

コロナが、非正規児湯労働者たちに、そして非労働力人口になった人たちに深刻な打撃をもたらしています。非正規運動の重要性がますます高まっています。

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